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働き方トレンド(コラム)



今後フリーワーカーが増加するという予想。

業務委託は雇用の便法?

最近「業務委託」

というカタチで働いている人をよく見かける。私の周囲にも数人いる。会社と雇用契約を交わさずに個人の請負で仕事をしている。建設業のように特に何かを完成させたり納品するわけでもない。「業務遂行」という事実行為を注文主から委任(準委任)され、業務を遂行している。外見的には、要するに「働いている」のと変わらない。

歴史的に見れば、「雇用」というのは特徴的な契約形態で、その人を丸ごと雇用主に預けてしまうような、どことなく身分法的な面のある契約だと思う。おそらく産業革命頃が発端だろうと想像されるが、未勉強なので、「たぶん」そうだと思う。雇用主は労働者に対して、労務を提供してもらっている間は安全配慮義務があり、各種社会保険にも加入し、あわよくば終身雇用などと言って、途中でリストラしようものならブラック企業だと罵られる。

最近、終身雇用のつもりで大企業にどっぷり漬かってきたものの、50歳前後で慣れない営業に配置転換、遠方に転勤…で自分から退職した中年男性数人に知り合うことになった。要するに、人生初めての転職。気の毒なのは、年収を落とすことなく、プライドも傷つくことなく正社員で迎えてくれる会社があると、彼ら自身が無邪気にも思っていることだ。企業も以前のように、人件費の嵩む中高年男性を、その能力によって切り捨てる時代になっているらしい。漫然としていてはだめだと思う。

人材紹介業というものにチャレンジしたことがある。弊所にお仕事探しに来られたのは上記のような方がほとんどだ。若くて優秀な男性人材へは、大手リクルート企業がスカウト合戦をしている。うちのような小規模職業紹介所まで回ってこない。少ないパイを過当競争気味の人材業界が戦々恐々と奪い合いをしている。

そんな中で、リストラに遭うのはいわゆるホワイトカラー&文系の中高年。開発設計や施工管理が出来るとか、なんらかの手に職のある人はいくつになっても受け皿はある。ITエンジニアも相当のスキルが要求される。ホワイトカラーの中でも、営業職などは転職の限界年齢は35歳だとか。これからますます、40~50歳代の転職予備軍は増加するだろう。英語はアレルギー、エクセル関数も不得手な、いわゆる普通の中高年の行き場なんてない。

世間ではとかく人手不足が声高に主張されるが、あれは若くて即戦力になり、かつ安月給で働いてくれる都合のよい人材が不足しているという意味でしかない。

話は戻る。

雇用という制度に際立って特徴的なのは、時間なんぼで対価が発生すること。これを賃金と呼ぶ。労働者は技能ではなく、時間を雇用主に捧げることで対価を得て生活する人のこと。労働基準法のとおりだ。考えようによっては雇用とは身分法である。従業員にとって、5時に会社を終わって通勤電話の中でも○○株式会社の従業員という身分からは逃れられない。24時間365日、身分としては○○株式会社の社員。だからこそ法定労働時間というものがあるのかもしれない。この状態が定年退職まで続く。逃れられない「社員」という身分。これが日本型の雇用制度であった。

今流行の「業務委託」ならそこまで縛られない。双方の合意に基づいてなんらかの価値の提供をし、対価を受け取る。対価が発生する単位は、時間にではなく、成果物あるいはそのプロセスに。つまり、請負や委任が労働法の適用を受けないために、いくら同じ動作をしても「労働」ではないのだ。概念が異なり言葉も違う。結果的に労働法の保護を得られないため、何が起きても自己責任。

雇用とは今思えば、労働者を守り、企業を守る制度であった。都会のサラリーマンになることを夢見て、地方から都会へ、人口は流動した。日本の焼け野原にあった町工場が急成長し、巨大製造業に発展した。そのいくつかは、繁栄しそして滅んだ。労働基準法が制定されたのが昭和22年。農林水産業は廃れ、地方は過疎化。高度成長期にはみんなこぞってサラリーマンになった。社会保障制度も、年金が2階建てになり、サラリーマンになれば厚生年金がもらえる!という美味しい制度に変貌した。

しかし、蜜月時代は終わった。産業のほとんどが第三次産業の世の中になるなんて、労働基準法制定当時、誰が想像できただろう。サラリーマンがスーダラ節に登場する「気楽な稼業」だったのは昭和の時代で終わった。働き方の変化があってもいいかもしれない。派遣や業務委託というまるでいきなり「発明」したかのような便法が一人歩きしている。だって、第三次産業には一生尽くしてくれる忠犬のようなサラリーマンは要らないわけだから。

働き方の比較_001

業務委託と雇用とはどこが違うのか?という質問に、労働の専門家は異口同音に「現場で指揮命令できるかどうか」だと言うだろう。確かに正解だ。しかし、それは必要条件であって十分条件ではない。指揮命令するかどうかは現場の運用の問題。法律の質問をしているのに、運用の問題で答えているとしか思えない。

上の表を見てもらえば分かるように、「派遣」と「業務委託」を分ける線が「指揮命令」なのだ。そんな変な理屈はないと思う。派遣も業務委託(請負)も3者間の契約。現場で指揮命令が発生するかどうか労働基準監督官がじっと監視しているとでも言うのだろうか。派遣には「労働者派遣法」という労働法がある。私は個人的には「労働者派遣法」は、委任・請負の特別法だと思っている。

これからますます「正社員」は少なくなるだろう。若者も、一生縛られるのはご免だと思っているかもしれない。じゃあ、どうなる?このままフリーワーカーが増加するものと思う。
大きな船に乗れば一生安泰。定年までの航海が約束されている。そんな時代は終わった。

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社労士目線のコラム書いています。

社会保険労務士事務所・労務管理のヒューマントレンド
代表 吉澤佐代子

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